捏造[読書]
今日はずっとぐだぐだしてました。
最近韓国で捏造が話題になってますねえ。
僕は昔,科学史や科学哲学にはまったことがあります。
結構科学者の自伝なども読みました。
僕はここのところ『どうやって新しい発想にいたるのか。そしてそこに法則性はあるのか』
ということをずっと考えています。
大学4年から大学院1年くらいに,『捏造や間違った仮説はどのようにしてでき,正当化されるのだろう』ということをふと考えてしまいました。
今日その時に読んだ本を再び読んでみました。
- 作者: W.ブロード,N.ウェード,牧野賢治
- 出版社/メーカー: 化学同人
- 発売日: 1988/01/01
- メディア: 単行本
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- 作者: ジャン‐ピエールランタン,Jean‐Pierre Lentin,丸岡高弘
- 出版社/メーカー: 産業図書
- 発売日: 1996/04
- メディア: 単行本
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これらの本を読むと結構ショッキングな内容がかいてあります。
- ガリレオは『それでも地球は動いている』とは言っていない。彼の主張が認められなかったのは,反論者に激烈な罵倒をしたり,十分な地動説の証拠を提示することができなかったため。むしろ,自らの保身のために地動説を撤回していた。
- コペルニクスの地動説は太陽神(ヘルメス信仰)が動機。理由は後付け。つまり「太陽が中心のほうがかっこいい」と思ったから(笑)
- ニュートンは「プリンキピア」で版を重ねるごとに,自分の理論にあうようデータを改ざんした。
- メンデルは理論をまず立て,それに合うよう統計処理をした(無意識にかも知れないが)。
などなど。
これだけ有名な人でも捏造をしているというのです。
捏造は科学ではありふれたことだというのです。
コペルニクスやケプラーは,この頃にはやった新プラトン主義(イデア思想+神秘主義みたいな感じの思想)の影響を受けているのです。
ニュートンは最後の錬金術師といいう人のいるくらい(実際みすず書房にそういう題名の本あり)主要な業績に掛けた時間よりも錬金術研究に当てた時間のほうが多かったらしいです。神の存在を前提に万有引力の法則は発見なされています。
こうあるべきだという仮説から科学は始まるのでその結果に近い結果は仮説を証明するデータとして受け入れられやすい。そのため,仮説から遠いデータがあると間違いというように判断されデータから省かれてしまうことがある。最悪の場合は,仮説を正当化するためにデータをならすということがあるのです。そのくらいのデータの修正から捏造までは,心理的には遠くないのです。少しずつ少しずつ完全な捏造に近づいていく。
また現代の科学の場合,研究には莫大なお金がかかります。科学的価値は一番目のみ価値があり二番目以降ではまったく意味がありません。そんなことから競争はすさまじいのです。
自分がずっと研究をやりたい場合は,ずっとよい業績を挙げていないとお金がなくなってしまうのです。
捏造には,そういう側面もあると思います。
とくに捏造が起こりやすいのは,生物・医学系です。
理由としては,
- サンプルが特殊であることが多い(なかなか手に入らないサンプル)。
- 反証・追試がなかなか困難である(発表者のみサンプルを持っている場合がある)。
- 分野が広すぎて個々の分野の把握が困難。
あとは権威を持っている人が捏造していた場合,「捏造だ」というリスクはとても大きい。
捏造があっていた場合→証明するのは大変。しかも周りからたたかれる。研究者人生終了。
捏造が間違いの場合 →告発者が学会からはぶられる。研究者人生終了。
という訳で捏造告発は研究者にとって非常にリスクの高いことなのです。
だから,あまり公にはならないのです。
また,科学は「真理を追及する学問」という性格が強い学問であるうえに,科学者というものはそれを強く信仰している人たちの集団です。だから,そのテーゼを覆す捏造というものの存在は科学者として信じたくないし,触れたくもない存在なのです。
だから捏造は起こるのです。
だからこういった事件は残念ながらこの後いくらでも起こるでしょう。